• インタビュー
  • 2022.07.19

仕事もアメフトも「まずやってみる」| 千代修平さん(ディアーズフットボールクラブ )

大学アメフトで輝いていたあの選手は、社会人として、またXリーガーとしてどんな道を歩むのか。

大学アメフトは 4年間 に対し、
社会人のキャリアは 約40年間以上 と圧倒的に長い。

アメフトを通じて経験した学びやスキルが、社会人としてのキャリアにどう活きるのか。また平日は仕事、週末はアメフトを両立しているXリーガーは、日々どんなことを考え生活しているのか。

今回はそんな疑問をX1SUPERのディアーズフットボールクラブでRBとして活躍する、千代 修平さん(日本体育大学卒)にお聞きしました。

!この記事のまとめポイント

■学生主体でチーム運営をすることで「考えて行動する力」が身に付いた
■自分が大切にしていることを絶対に妥協しないで欲しい
■Xリーグでは一人一人が違う会社に所属しているからこそ、様々な価値観に触れ合える
■アメフトも仕事も失敗を恐れず「まずやってみる」ことを大事に

▼目次

    千代修平(せんだい・しゅうへい):1998年生まれ。日本体育大学でアメフトを始め、RBとして活躍。4年生時には主将を務める。
    大学卒業後は、Xリーグのディアーズフットボールクラブへ入団し、現在もアメフトを続ける。
    仕事では、歯科医療の専門商社 ケーオーデンタル株式会社に入社。日々営業としてお客様の課題解決を担当している。

    聞き手:神田一哲(1st down編集部)

    ■ 学生時代に自然と身に付いた、考えて行動する力


    神田:ズバリ、大学時代のアメフトの経験が、今お仕事に活かせている点はありますか?

    千代:「考えて行動する」ことですね。
    僕らの大学って、チーム運営にコーチが全面的に出てくる大学じゃなかったんです。

    主将とか主務の役職者を全て学生間で決めて、ヘッドコーチも学生で決めていました。

    神田:ヘッドコーチすらも自分たちで決めてたんですか…!

    千代:自分たちでチーム運営をするからこそ、今必要なことを見極めたり、自分たちがやりたいことは何かを考えたり、とにかく「考えて行動する」ということがキーワードでした。

    その経験を4年間してきたので、仕事で分からないことがあっても、最初から人に意見をもらうのではなく「僕はこう思うんですけど、どうですか?」という聞き方をするようになりました。
    「まず自分で考える」ということは仕事に活きています。

    大学時代は主将として、またチームのエースとして、幾度となく素晴らしい走りを見せた。(本人提供)

    神田:大学時代を振り返ってみて、印象に残っている試合はございますか?

    千代:2試合あります。

    まず良い印象として残っているのは、大学2年生の時に出た慶應義塾大学戦ですね。試合には負けてしまったんですが、初めて公式戦にフルで出て2つタッチダウンを取りました。

    【2018年度 秋季リーグ戦第6節】
    11月11日(日) @横浜スタジアム
    慶應義塾大学 23 – 21 日本体育大学
    15回キャリーし、63ヤード獲得。
    自身で2タッチダウンを挙げ、慶応義塾大学を追い詰めた。

    あとで試合の映像を見返したときに、観客席からの歓声がすごかったんです。プレーしている最中は感じなかったんですが、振り返ってみて自分が一番成長できた試合でした。

    逆に今でも悔しいのは、3年時の1部-2部入れ替え戦で桜美林大学に負けた試合ですね。

    【2019年度 チャレンジマッチ】
    12月14日(土) @アミノバイタルフィールド
    桜美林大学 16 – 6 日本体育大学
    7回のキャリーで51ヤードを獲得するも、惜しくも敗北。リーグ降格が決まる。

    個人では勝っているのに、チーム力で負けて本当に悔しかったです。

    「自分だけが勝っていても、チームが勝てなきゃ意味が無い」と思えた試合でした。悔しさとともに、良い経験ができた試合です。

    ■ 教員ではなく、アメフトを選んだ理由とは


    神田:千代さんは今どんなお仕事をされているんですか?

    千代:今は商社で歯科医院さんの経営や、普段の診療等をサポートするような仕事をしています。

    具体的に言うと、実際の診療で使う材料や椅子などを販売したり、色々な部署に分かれて歯科医院さんをご支援させていただいています。

    まだ分からないことだらけですが、メーカーさんと僕たちと、歯科医院さんの全員が三方良しになるように営業活動をするのが商社だと思っています。

    神田なるほど!入社を決めたのはどういった理由からでしょうか?

    千代:学生時代に「大学を卒業して1番やりたいことは何だろう?」ってずっと考えていて、僕の場合は教員かアメフトだったんです。ですが、教員とアメフトを両立するのは無理だなと。

    そこでどちらが優先順位が高いかを考えて「教員は40歳でも出来るけど、アメフトは40歳じゃ出来ない」と思ったんです。そこから、まずはアメフトが出来る環境で仕事をしなきゃいけないと思いました。

    その中で、歯科業界って身近なようで自分の知らない世界で「面白そうだな」「挑戦してみたい」と思ったことがキッカケです。

    神田まだ入社されて約半年ですが、お仕事のやりがいや魅力はどういったところでしょうか?

    千代:自分がおすすめした商品を、歯科医院の先生方やスタッフさんに「良かったよ!」と感謝の言葉をいただけるとやっぱり嬉しいです。

    あと、診療に使う椅子やCT、3Dプリンターなどの大型機械は値段が高額です。なので短くて1年、長くて4~5年ほど契約に向けて商談を進めます。

    そういったお客様との長いコミュニケーションを経て、上司や先輩社員の「売れました!」というような報告を聞いていると、地道に積み上げてきたものが花開く瞬間をみているようで、今後自分もやりがいを感じそうだなと思いました。

    ■ 自分のやりたいことに、嘘をつかないこと


    神田:大学アメフトと就活を経験したからこそ、現役アメフト学生に伝えたいことはございますか?

    千代自分のやりたいことに嘘はつかないでほしいと思っています。

    本当はやりたいことがあるけれど、色んな事情で他の会社に入るとなると、絶対に後悔します。なので、自分が本当にやりたいことを優先して選ぶべきだと思っています。

    例えば、
    ・月給25万のやりたくない仕事
    ・月給18万のやりたい仕事
    のどちらかを選ぶのであれば、僕は18万でもやりたいことを選んだ方がお金は少ないかもしれないけれど、後悔はないと思います。

    自分の大事なことは絶対に妥協しないでほしいと思います。

    ■ Xリーグだからこそ、毎週末新しい価値観に出会うことが出来る


    神田Xリーグでアメフトを続けるからこそ、できる経験はございますか?

    千代:会社や部活の中だと似たような仲間が多いじゃないですか。

    Xリーグでは、同じチームでアメフトをしているけれど、一人ひとりが違う会社に所属しています。

    その中で年収何千万という人もいるし、色々な人や価値観と触れ合える機会があるのは、Xリーグでアメフトを続けているからこそですね。

    あと、アメフトは仕事でやっているわけではないので、「やらなきゃ生活できないか」って言われるとそうではないと思います。

    自分で「やりたい!」と思ったことを、社会人になってもやりたいように頑張れることは良い経験です。

    神田社内の繋がりのみだと、気づかぬうちに考え方が固まりがちですが、毎週末色々な価値観に触れられるのは貴重ですね…!

    千代:チームメイトには東大出身の人とかもいるので、話していてすごい経歴だなって思ったり(笑)

    あとは、同期で入団していても実は年齢が3つ上とか。僕のチームはプロ選手や福岡や大阪から来ている人もいますね。

    本当に様々な環境の人がいるからこそ、たくさん刺激をもらっています。

    ■ 1年目だからこそ失敗を恐れず、まずやってみる


    神田最後に、仕事とアメフトで目指してる目標を教えてください!

    千代:仕事では、管理職や営業所の所長を務められるように、人を引っ張っていけるリーダーになることが目標です。今は歯科医院さんとの信頼関係を構築しているところです。

    アメフトでも、チームを代表する選手になりたいですね。

    まだ1年目なので、失敗はしていいことだと思っています。この前も試合で自分自身ミスがあったりもしましたが、1年目だからこそ出来る失敗もあります。

    失敗から学べることもたくさんあるので、今は色々なことに挑戦しています。

    神田仕事もアメフトも、まずはチャレンジということですね。

    千代:やらなかったら学びはないですが、やれば失敗から学べることもあります。

    仕事もアメフトも「まずやってみる」ということを大事にしています。

    ・・・

    終始明るく謙虚に、生き生きと話してくれた千代さん。なぜアメフトを続ける選択をしたのかなど、発する一言一言に強い意志を感じました。

    アメフトは仕事でないからこそ、プロスポーツよりも「覚悟」を必要とするのかもしれません。

    仕事もアメフトも、覚悟を持って本気で戦うXリーグのカッコいい選手たちを、今後も追いかけます。

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