• インタビュー
  • 2022.11.11

1人でも多くの「ファン」を作る、広報が目指すゴールとは|明治学院大学アメフト部 源中彩乃

「チームが一番変わっているタイミングに自分がいるなって思います。1年から4年まで、ものすごい変化を経験していることが、ありがたいというか楽しいですね。」

そう語るのは関東BIG8に所属する明治学院大学セインツで広報を担当する源中彩乃(げんなか あやの)さんだ。

アメフトにはチームを支える「スタッフ」の存在が必要不可欠だ。急成長するチームは選手はもちろん、スタッフユニットの完成度の高さも求められる。明治学院大はそんな「急成長」という言葉がぴったりのチーム。

日々チームのために奮闘する源中さんに、広報としての取り組みや、スタッフがどんな思いでチームを支えているのか、話を聞いた。

▼目次

    ■ もっとセインツを好きになってもらいたい


    源中さんは現在5名(1年生2人、2年生2人、3年生1人)のリーダーとして広報ユニットを統括している。広報の役割はSNSでの情報発信やHPの更新、父母会/OB会との連携など、多岐に渡る。

    実際に作成しているInstagramの投稿

    情報発信をするうえで様々な関係者と連携するからこそ、日々チームを応援してくれているOB会や父母会、ファンの存在の大きさを感じているという。

    「去年からチームをもっと応援してもらうための新しい取り組みとして、日々の練習で撮った写真をSNSにアップするだけじゃなくて、月に複数回父母会やOB会のグループラインへ情報を発信しているんです。それの影響からか今年の夏合宿でも多くの父母の方が実際に遠方の合宿所に見に来てくださったり、OBの方が差し入れくださったりとか、本当に応援されていることを実感しています」

    源中さん自身は広報としての3年間を経験し、今は下級生を育成していくためにもあえて実務を後輩に任せている。それぞれの仕事を見守りながらアドバイスをすることが多いそう。実務から一歩引いてアドバイスをするのは、2年生時の実体験にあった。

    「私が2年生の時には、ほぼ一人で広報を回していたんです。自前のカメラを持ってきて、自分で編集していました。新しくAdobeを導入して右も左も分からない時に、大変さを分かち合える仲間がいなかったので、編集すること自体がすごく苦痛だったんです。広報は色んな人のアイデアを客観的に見て意見をもらうことで良いものが作れると思うんです。そこで今は編集を後輩たちに担当してもらっています。分かり合える存在として、上手く支えあってほしいなと思います」

    選手と違い結果が見えにくい広報だからこそ、広報としての『ゴール』を聞いた。

    「ユニットの中で広報は父母やOB、学校関係者とかいろんな人に向けて情報だったり、部の魅力を届けることが大切だよねと再確認したんです。ゆくゆくは父母やOB、学校関係者、一般のファンの方のそれぞれに合った魅力の届け方をしたいと考えています」

    「例えば大学生だったらTikTokで発信するとか、OBの方だったらハイライト映像をメインで発信したりとか。色々な対象の方に、色々なコンテンツを届て、さらにセインツを好きになってもらいたい」

    既にファンになってくださっている方に満足してもらえるコンテンツを発信することに加え、チーム力をより高めるために、今後はファンをより増やすための新しい挑戦をしたいそう。

    「もっとファンを増やすためには、毎年やってることをただ淡々とこなすんじゃなくて、毎年何か一つ違うものを取り入れて挑戦していきたい。新しいことに挑戦するってすごく難しいし抵抗があるんですけど、でもそれが広報の役目だし、セインツのファンを増やすためキッカケになる」

    また、4年間取り組んできたからこそ見えてきた、広報ユニットの未来に対する想いも語ってくれた。

    「今はマネージャーとしてグラウンドも見なきゃいけなくて、日々の練習も一緒に参加しているんです。ゆくゆくは広報に特化した部署とか、マーケティングの部署を作ってもいいんじゃないかと思っています。もっと広報自体がレベルアップして、いつか『もっと私達、良いもの作りたいです』って、後輩たちが言ってくれたらいいなと。それが夢ですね。」

    練習中には選手たちに水を配ったり、ビデオを撮影するなどマネージャー業務も兼務する

    ■ きめ細かいフォローでやり切った、新入生勧誘


    新入生勧誘はどの大学でも至上命題。そんな中、今の明治学院大には大学からアメフトを始めて活躍している選手が非常に多い。それは源中さんが3年生時に新入生勧誘のリーダーに抜擢されたことも影響している。

    「2年生のときから新歓は担当していたものの、当時は先輩がちゃんとサポートしてくれていました。でも、3年生の時は自分主導で動いていくので、失敗しちゃいけないなとプレッシャーが大きかったですね(笑)」

    未来のチーム力を左右する非常に重要な役割から、大きなプレッシャーがかかったが、それを糧に必死で取り組んだ。

    「まず最初に選手・スタッフ、男女関係なくDMで新入生に対して声掛けをしました。そこから『迷ってるんです』とか、『ちょっと興味あります』とかいろんな子がいるんです。そこでLINEを交換して話してなるべく時間を空けずに会話できるように、当時30人ぐらいに満遍なく返信をしながら魅力を伝えて、言葉のキャッチボールをすごいしてましたね」

    実際に新入生勧誘で使用していたTwitter

    「いかにスポーツ推薦組だけじゃなくて、未経験がどれだけ入ってくれるかがチーム力の鍵になると思っていました。未経験の子たちに向けたチーム紹介はSNSでかなりしましたね」

    きめ細かく新入生にフォローを続けたことが結果的に実を結び、未来のチームを支える未経験者の入部者数は前年と比較しても大幅に増加した。また、しっかりと入部前にコミュニケーションを取ったことによって、現在は下級生の退部率も以前より減少しているという。

    ■ スタッフも「チームづくり」に前のめり


    ここ2年間の新入生勧誘に成功したことで、スタッフだけでも約50人の大所帯に。人数が多くなればなるほど、上級生と下級生の意識の差や取り組みに対する捉え方の違いなど、課題は多くなる。

    「自分が上級生になるにつれて環境が変わってきて、下の学年の子からもどんどん意見を言い合えるような関係を築いてきています」

    今は人数の変化を乗り越えられるように、チーム文化を一歩ずつ変えはじめている。まずは下級生からの意見を大切にするために、各部署、各学年ごとで1ヵ月の反省と翌月の目標を議論するミーティングをしてもらい、課題や意見を明確化した上で全学年のスタッフが集まるミーティングを行っている。地道な取り組みの成果が今は身を結び、下級生が発信することも多くなったという。

    「日々どうしたらもっといいものになるか改善しています。マネージャー/トレーナー/アナライザーで毎日の練習が終わった後に、各部署で反省みたいな話す場を設けて、『今日の練習どうだった?』『もっとこうした方がいいと思います』とか、『ここ今日できなかったので次にできるようにしましょう』みたいな。そういった反省を各部署で1回してもらって、それを毎日共有してるので、毎日更新されていくイメージです」

    練習後には必ずスタッフユニットで反省のミーティング、常に改善している

    「スタッフは4年だけじゃなくて、1年から4年全員でスタッフなんです。色々な意見を聞くことでそれぞれ感じることがあると思うので、下からの意見を大切にしています」

    ■ 本当に勝ちたいからここにいる


    ここまで急成長するチームを客観的に見て、源中さん自身はどう感じているのか。ラストシーズンに懸ける思いを聞いた。

    「選手もスタッフも関係なく、4年生1人1人の部活に対する取り組み方が熱いし、丁寧だし、みんな本当に好きでやっているのが伝わってくる。本当にアメフトが好きで、本当に勝ちたいからここにいることを感じるので、チームが変わってきてるのかなと思います」

    「4年間の集大成としてTOP8昇格はみんなが本当に望んでること。そのためだけに、この1年間逆算して何をしたらいいかを常に考えていました。実際にやって大変だったことはすごい多かったですし、結果に結びついてくれたらと思います。スタッフ目線になっちゃうんですけど、選手がすごい頑張っている姿とか日々近くで目にしてきたので、彼らの想いも感じます。フィールドで戦うのは選手ですけど、全員で頑張りたいと思います」

    悲願のTOP8昇格まで、支えきる

    ここまで秋季リーグ戦で5試合を戦った中で、明治学院大学は未だ無敗。4年間の思いを胸に、悲願のTOP8昇格までスタッフユニット全員で支える。

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