• インタビュー
  • 2023.12.08

昨季の悔しさを糧に、捲土重来でBIG8昇格を目指す|帝京大学アメリカンフットボール部

1st downでは各リーグの注目校に取材を行い記事を発信していきます。第12弾は関東2部リーグの帝京大学です!

今シーズンは快勝を続け、1次リーグを1位通過して2次上位リーグに進んでいます。来る12月17日に開催される横浜国立大学との入替戦に勝利すればチーム悲願の1部BIG8昇格が確定。幹部陣に今年のチームの取り組みを、そしてチームで活躍する選手それぞれに話を聞きました!

▼目次

    記事・写真:三原 元

    ■ 捲土重来でBIG8昇格を目指す 主将 石橋直樹


    「このチームは本当に明るい選手が多いです。明るくて、ノリが良くて、凄く雰囲気が良い。それがグラディエーターです。」

    そのようにチームの特徴を話してくれたのは主将の4年RB/P/K、石橋 直樹選手。

    主将の石橋選手はRBだけでなくキッカーとパンターも兼任

    グラディエーターは昨年も1次リーグを1位で通過したものの、2次上位リーグでは惜しくも3位となり、昇格をかけた入れ替え戦出場の権利を逃した。石橋主将に昨年のチーム結果を振り返って貰った。

    「昨年は試合を重ねるごとに良くはなっていました。それでも試合に対する取り組みや、自分達のスタンダードが変わらないまま進んで行ってしまった事、それが昇格戦を逃してしまった原因だと考えています。」

    石橋主将が話す「自分たちのスタンダードが変わらないままだった」ことの理由を聞くと「気持ちだけ先に行っていた」との事。それは具体的にどんな事だったのだろうか。

    「昨年は春のオープン戦で3連勝し、チームが凄くイケイケなムードでした。危機感が無いというか、『自分たちはいける』って気持ちが先行して、準備不足のまま秋シーズンを迎えていたと思います。今振り返ると、それで足元をすくわれてしまいました。しっかり準備をしていれば、本来の自分たちの実力を出せていれば、そうすれば確実に勝てた試合があったと、今振り返ればそう思います。」

    そして昨年の反省を踏まえた今年のチームスローガンは「捲土重来(けんどちょうらい)」。このスローガンに込めた思いを聞いた。

    「昨年の失敗や反省を踏まえ、昨年を上回る勢いでBIG8への昇格に挑む、という意味を込めています。練習の時から試合の緊張感やスピード感をもち、それを徹底してやる。それによってこれまで甘かった勝負所でも強いチームでありつづけます。」

    ■ディフェンスがチームをつくる、副将 石村隆太 


    副将のDL石村 隆太(りゅうた)選手は湘南工科大附属高校出身で元野球部。アメフト部へは高校の恩師から勧められて入部した。入部後は恵まれた体格を活かして1年次から試合に出場し、いまでは副将兼ディフェンスリーダーとしてチームを牽引している。

    副将のDL 石村 隆太選手

    大学からアメフトを始めた石村副将に、野球経験者から見たアメフトの魅力を聞いてみた。

    「アメフトは自分が思っていた以上に熱くなれます。それに野球と違って感情を出してもいいところが好きですね。インターセプトをした時や、タッチダウンをした時、そんな時にメンバーと感情をだしてエキサイティング出来るのはアメフトの魅力だと思いますし、この大学でアメフトをはじめて良かったと思う瞬間です。」

    他のスポーツよりもエキサイティング出来ること、それをチームメンバーと共有出来ることがアメフトの魅力と話す石村副将に、グラディエーターの特徴と、彼がディフェンスリーダーとして大事にしている事を聞いた。

    「グラディエーターでは『ディフェンスがチームを作る』とよく言われています。これは監督の方針でもある言葉で、相手チームに点を取らせず、ディフェンスがチームの精神的な柱になって勝っていく、という意味が込められています。自分はその柱となるディフェンスのリーダーでもあるので、責任感がありますね。ディフェンスリーダーとしてチームを引っ張っていくために大事にしていることは、『学年関係なく言えない雰囲気をつくらない』という事です。言いたいことをどんどん言うような風土にしているので、リーダーの自分が見えてない事も言って貰えて、自分の視野も広がります。グラディエーターの下級生は癖が強いのが多くいます。なのでこちらが雰囲気をつくれば、気負いせずに向こうからどんどん言ってくれる。そんな良いチームです。」

    そんな石村副将に主将はどんな人かを聞いてみた。

    「彼は先陣を切って色々なことに動いてくれる人間です。それに対して自分たちがついていく。なので自分は副将として彼を下から支える存在になるために動いているなと感じます。試合でもプレーで背中を見せていくタイプなので、彼を見てチームも『石橋が頑張ってるから、じゃあ俺たちも頑張らなくちゃいけない』って思わせてくれて、チームを引っ張ってくれる存在です。」

    最後に彼に今シーズンにかける思いを聞いた。

    石村副将「自分は主将の石橋のようにプレーで、背中で見せるタイプではありません。自分は声を出して、周りとコミュニケーションをとってチームを盛り上げていくタイプ。また主将を後ろから支えられる存在でありたいと思っています。ディフェンスリーダーとしては、試合でタッチダウンを1本以内に抑える事、いかなる形でもいいから、相手を絶対に止めてやるんだという気持ちで臨んでいきます。」

    石橋副将の入れ替え戦での活躍を期待したい。

    ■チームに流れを与えるプレーヤーに、3年DB 松下蒼


    「主将の石橋さんは、普段フットボールをしていない時はすごい面白い人で、結構笑わせてくれるんですけど、フィールドに立つと自分のプレーでチームを引っ張っていってくれる、そんな頼れる先輩です。」

    そう話すのは3年DBの松下 蒼選手。聖望学園出身でアメフト経験者。石村副将が話したグラディエーターの特徴「ディフェンスがチームを作る」をそのままに体現し、チームの1次ブロック1位通過に貢献した選手だ。

    彼にDBにはどんなタイプの人が向いているのか聞いてみた。

    「このポジションは観察力のある人が向いていると思います。対戦相手のレシーバーやQBが狙っている場所、セットした時に彼らがどんなコースを走りたいのかを考えられると有利にプレーが出来ます。それが出来るためにも、観察力が凄く大事なポジションだと考えています。」

    DBというポジションには観察力のある人が向いていると話す松下選手。これまでその観察力で多くのパスブロックやインターセプトを成功させている彼に、DBというポジションで大事になるものは何かを聞いてみた。

    「DBは試合の展開や流れをガラッと変えることの出来るポジションです。相手が投げミスしたのを絶対に拾える安定感が大事ですね。」

    彼の話す相手のミスした球を拾うためには、清水監督から言われた言葉が今でも活きていると話す。

    「監督に以前『ボールが投げられたら、自分が相手レシーバーだと思ってそのボールに寄りなさい』と指導して頂いたことがありました。それからは監督の言葉通りに動いて、今のようにインターセプトをできるようになれたと感じています。」

    監督の言葉以外にも、活躍するために自分の性格が役立っている部分があると話していた。

    「自分は負けず嫌いなんです。だから相手レシーバーに、特にそれがエースレシーバーなら絶対に負けたくないって気持ちになります。試合中に相手レシーバーとの勝負はかなり拘って、なるべく相手にボールへ触らせないないように邪魔をしますし、ブロックもヒットしています。相手が強いレシーバーであればあるほど燃えますね。だって相手が強いほど、そのレシーバーにパスが集まるって事ですから。」

    最後に今シーズンにかける思いを彼に聞いた。

    松下選手「去年はインターセプトをするチャンスをたくさん掴んでチームの勝利に貢献できたので、今年はもっと多くのインターセプトを狙って、チームに流れを与えるプレーヤーになりたいと思います。チームとしては去年1次リーグを全勝して2次上位リーグに進みましたが、初戦で負けたことで最初から入れ替え戦への道が無くなっていました。だから今年こそは2次リーグ初戦から勝って、BIG8への昇格を目指して勝ち進んでいきたいと思います。」

    石橋主将と石村副将がチームを引っ張り、下級生の松下選手が活躍するグラディエーター。今年こそチーム悲願の1部BIG8昇格を果たせるのか、最後の集大成に注目したい。

     

     

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