• インタビュー
  • 2023.12.01

【2023年秋の注目校Vol.11 ~関東BIG8~】上位リーグ進出のBIG8青学大、グラウンド内外で活躍する2人のキープレーヤー|青山学院大学アメリカンフットボール部

1st downでは秋の開幕に合わせ、各リーグの注目校に取材を行い記事を発信していきます。第11弾は関東1部BIB8青山学院大学ライトニングの後編です!

今シーズンBIG8で目覚ましい活躍を見せた青山学院大学を支えた2人の「キープレーヤー」に話を聞きました。

▼目次

    ■パスチームの象徴として魅せるプレーを、3年WR 吉良勇心


    「パスが取れなかった時、そのミスを自分以外の誰かのせいにはしません。自分がどうすれば捕れただろうって考えてます。」

    WRの3年吉良勇心選手

    3年WRの吉良 勇心(ゆうしん)選手は東海大学付属福岡高校出身。小学校から高校まで野球に取り組み、大学では心機一転アメフト部に入部。

    彼は1次リーグ4試合中3試合でタッチダウンパスをレシーブしている。中でも3試合目の明治学院大学戦では、45ヤードのロングパスタッチダウンを成功させ、TOP8昇格へと繋がる2次上位リーグ進出に貢献。パスチームと言われる青山学院大を支える屋台骨とも言える選手だ。

    そんな彼の冒頭の発言は、レシーバーとして大事にしている事を聞いて返ってきた言葉。彼にその意味を聞いた。

    「レシーバーは普通に来た球は捕ることが当たり前。このポジションは、どれだけ難しいボールを捕れるかに価値があると思っています。そう考えれば、ミスした時『今のパスは難しかったけど、自分がこうすれば捕れたんじゃないか』って考えるようになれる。もちろん、QBとコミュニケーションを全く取らない訳ではないです。QBには『パスをもうちょっと短く欲しい』など伝えますが、それも自分がどう改善すればいいか考えて、それでも無理な場合要求するようにしています。」

    ミスを自分事として捉え、次への改善を考える。簡単なように思えるが、負けている展開や苦しい状況のパスなど、責任が重大な時こそミスを誰かのせいにしがちだ。

    「やっぱり誰だって自分がミスをした時は、『足がとか手が』とか言い訳をしたくなると思います。自分のミスとして受け止めるのは難しいです。けど、ミスを自分で受け止めることができないと改善は出来ないですし、受け止めて自分の実力を認識しないと、レシーバーとして100%でパスを捕ることはできなくなると考えます。」

    彼のその考えは小学生から続けた野球の経験が活きていた。

    「野球ではピッチャーを経験してきました。ピッチャーの出来は勝敗の8割を占めると言われるほど重要なのに、試合中はいつも1人。だから常に自分で考えて、自分で修正していく必要がある。その時の経験でこの考えが身についたのかなと思います。」

    吉良選手に他にもレシーバーとして大事にしている事を聞いた。

    「QBとは『暗黙の意思疎通』が大事だと考えています。例えば試合中に相手ディフェンスに張り付かれた時。『今こう張り付かれているからパスはここら辺に欲しい』って思ったら、QBがその場所に投げてくれる。そういう場面が良くあります。」

    吉良選手が話す「暗黙の意思疎通」に必要なものは何だろうか。彼に聞くと、返ってきた答えは「普段からのコミュニケーション」だった。

    「普段からQBとコミュニケーションを密に取っているから出来る事だと思います。それは同期の小川だけでなく先輩QBの保立さんでも同じです。あの人はリーダーシップがある人で、練習でも僕たちレシーバーに的確な指示を出して引っ張ってくれる人ですが、いつも保立さんからプレーに関して色々話しかけてくれるので、コミュニケーションが密に出来ていると感じています。それがあるから保立さんとも暗黙の意思の疎通が出来ていると感じますね。」

    むしろ試合中のコミュニケーションよりも、普段の練習でいかにコミュニケーションを取っているかが大事と話してくれた。ミスを自分事に捉えて常に改善し、QBと密にコミュニケーションをして暗黙の意思の疎通を図る吉良選手。オフェンスリーダーでもある保立選手からも「一番信頼しているレシーバー」と言われる彼に、今シーズン初戦の桜美林戦を振り返って貰った。

    「正直勝つつもりでやって来ました。だから負けたけど僅差だったから良かった、なんて思わないですね。本当に悔しかったです。」

    桜美林戦は21-27で負けた

    悔しそうにそう話す吉良選手だが、昨年と比較して吉良選手は「試合中のチームの一体感や、サイドラインの雰囲気が全然違いました。」と、チームのある変化について感じていた。

    「本当に選手やスタッフの1人1人が、絶対に勝てるって気持ちでした。理由はもちろん春から桜美林を倒すと準備してきた事が大きいですが、それ以外にも試合前のハドルで西川主将が話した内容も影響したんじゃないかって思っています。」

    西川主将は桜美林戦のハドルでどんな事をメンバーに話したのだろうか。

    「コロラド大学監督の『I believe』という言葉を引用して『憶測するな、見たものだけを信じろ』と。相手は去年までTOP8、その前は甲子園ボウルまであと一歩に近づいた桜美林です。だから僕らメンバーはどうしても試合前に色々な事を憶測してしまっていました。それを見た主将は『自分たちが相手に対峙して、感じたものだけを信じろ』って言っていました。そのお陰で、実際に桜美林の選手と対峙した時には、色々浮かぶ憶測を振り払って、ただ目の前の選手だけを見る事が出来ました。それで『いけるぞ!』って自信になりました。」

    その桜美林戦では惜しくも敗れたものの、彼らはその後、昨年リーグ1位の明治学院大学を17-14でアップセットし、TOP8に繋がる上位リーグへと進出した。その勝利には、西川主将の言葉が影響していたのかもしれない。

    最後に吉良選手に今後に向けた抱負を聞いた。

    「去年は卒業された花岡先輩がオールBIG24のレシーバーに選ばれました。自分の目標はそこに入ることです。オールBIG24にライトニングのレシーバーが選ばれる、それこそが、ライトニングがパスチームである事を象徴していると思っています。次の上位リーグではオープニング戦から勝利して、TOP8に昇格することが目標です。これからの試合、自分に来たパスは全て絶対に捕ります。見に来て下さる人たちから『また9番のレシーバーが取ったな』と思われるように、そしてその人たちに魅せるプレーをしていきます。」

    ■チームを外から強くする、3年 伊藤真泰


    「野球の早慶戦。神宮球場が満員になるほどの観客と大歓声の、あの雰囲気に昔から憧れてました。なのに、何でアメフト部はこんな人気が無いんだろう、このギャップは何なんだろうって思っていました。」

    ブランディングユニットリーダーの3年伊藤真泰さん

    話すのは青山学院大ライトニングのブランディングユニットでリーダーを務める3年伊藤 真泰(まひろ)さん。ブランディングユニットとはスポンサー獲得や試合の集客などを専門に扱うユニット。そしてこのブランディングユニットを創設したのが伊藤さんだ。彼にその理由を聞いた。

    「選手やスタッフはグラウンドの中でチームを強くしようと日々頑張っています。けれど僕は足を怪我して、グラウンドの中で体を十分に動かすことが出来ません。でも何か出来る事はないだろうかと考えて、じゃあグラウンドの外でチームを強くしていこうと。ライトニングを強くて人気のあるチームにする、そのために作りました。」

    自分がチームに貢献できる事を探し、グラウンドの外からチームを強くするためにユニットを作った伊藤さんだが、彼の役割はそれだけではない。ライトニングは昨年、コミュニケーションアプリのスナップチャット社とスポンサー契約を結んだ事で話題となったが、実はそれを実現させたのも伊藤さんだ。

    「本当に飛び込み営業です。元々スナップチャット社に知り合いがいたとか、父親が関係者という事もありません。」

    一介の大学生が飛び込み営業し、どうやってスポンサー契約を実現できたのだろうか。それはアメリカでのアメフトの知名度が関係していた。

    「最初は青学生のスナップチャット利用率が高いのと、大学ブランドで契約を結べないかと思いました。それで会社を訪問しプレゼンをさせて貰えたんですが、お会いできた日本法人の方々からは『一応アメリカの本社に掛け合ってみます』という感じで、正直言ってあまり良い反応ではありませんでした。だけどアメフトは日本で知名度がイマイチでも、アメリカでは異次元レベルの人気スポーツなので、アメリカの本社から即OKが貰えました。」

    この事がきっかけでライトニングは「ユニフォームにスナップチャットのロゴをつけた部活」として知名度が上がり、今では学園祭でスナップチャットとコラボ企画をする話も進んでいるそうだ。

    さらに伊藤さんはスポンサー獲得以外にも様々な活動を行っていた。その1つが7月17日にチームが主催した、小学生のフラッグフットボール大会だ。彼に大会開催の背景を聞いた。

    「1つは大会に参加してくれた小学生と交流すること。そうすることでライトニングと関係を作り、少しでも僕たちのファンになってくれたり、試合を応援しに来てくれればと思っています。もう1つは、大会を通してフットボールそのものを、生涯通して好きでいてくれる、そんな子供たちになってくれたらと。」

    2つの背景を話してくれた伊藤さんだが、それ以外にも「あわよくば、彼らが将来アメフトをする為に青学を選んでくれたら、なんて思いも正直あります。笑」と、とても現実的な思いも話してくれた。現在は大成功を収めた第1回大会に続き、第2回大会の開催を2024年2月に向けて準備している段階だという。

    ライトニングはスポーツ推薦枠がなく、大学の附属高校にアメフト部もないため、経験者がほとんどいない。そんな彼らにしてみれば、フラッグフットボール大会に参加した小学生とつながりを作り、将来的に入部してもらいたいというのは切実な願いとも言える。

    大会には多くのチームが参加した

    最後に、伊藤さんがここまで色々な取り組みを行う、その思いについて聞いた。

    「僕たちの活動は、法政大学や早稲田大学のような、いわばトップの大学が行っているレベルと比べれば、規模の面でも全然かないません。だったら色々な人を巻き込んで、様々な取り組みを仕掛ける先駆者となろう、僕らを見た他チームが真似をしたくなるような模本的な活動をしていこうと考えて日々活動しています。そして僕らブランディングユニットの活動によって、ライトニングを外側から強く、人気のあるチームにしていけると信じています。」

    グラウンドの中では吉良選手達が、グラウンドの外では伊藤さん達がそれぞれのやり方で日々努力し、ライトニングは日々成長していた。彼らのシーズン残りの活躍に注目だ。


    いかがでしたでしょうか。躍進を続ける青山学院大のこれからに注目ですね。1stdownではこれからも様々な大学について配信いたしますので、乞うご期待ください!

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