• インタビュー
  • 2023.11.08

【2023年秋の注目校Vol10 ~北陸~】北陸優勝校としての誇りを胸に、全日本選手権への決意|福井県立大学アメリカンフットボール部

1st downでは秋の開幕に合わせ、各リーグの注目校に取材を行い記事を発信!第10弾は今季北陸リーグの代表校として全日本大学選手権への出場権を得た福井県立大学ワイルダーズ!

今回は今シーズンの主将であるTE/DL/LB谷元 剛希(たにもと ごうき)選手に今季のチームづくりや、今週末に控えた全日本大学選手権1回戦への意気込みを聞きました。

▼目次

    ■ チームで唯一のアメフト経験者、「考える」癖がついた高校時代


    「今シーズンは結構しんどい試合が多かったですね」今季ここまで2戦2勝で北陸リーグを優勝。第1節の富山大に対しては完封かつ大量得点で勝利。しかし金沢大戦では試合終了まで分からない展開が続き、11-7の4点差で勝ちきった。「金沢大戦では自分たちのミスが多かったものの、最後まで相手に流れを渡さずにしっかりと止めることが出来たことが勝てた要因かなと思っています」

    ※写真はすべて本人提供

    昨年は金沢大に敗戦し、北陸代表の座を掴み取る事ができなかった。その敗戦を機にチーム全員が悔しさをにじませ、リベンジをするため1年間とにかく考え、実行し続けてきた。特に昨年課題であったライン戦ではフィジカルアップを図り、1年間でユニット平均10kg以上の増量に成功。スキルポジションにおいてはパフォーマンス最大化を狙い体重を絞るなど、チーム全体としてフィジカル面の強化に注力。その結果、富山大戦では安定的にランプレーを出し続け、長くチームの課題であったオフェンスの改善につなげることが出来た。

    さらにスカウティングに関しても例年以上に徹底して行った。昨シーズンまでは相手のプレーを重点的に対策していたが、今シーズンは対戦相手一人ひとりの特徴やプレーの癖までもシーズンの早い段階で頭にインプットを行い、フィジカルだけでなく頭脳面でも負けないチームを作り上げた。

    谷元選手は未経験出身の選手がほとんどの福井県立大の中で唯一のアメフト経験者。関西の府立豊中高校でアメフトと出会った。「実は中学までチームスポーツをやったことが無かったです。いきなり高校から野球とかを始めるのは難しいなとか色々考えたときに、当時の面白い先輩方に声をかけてもらって入部を決めました」

    大学時代と同じDL/LB/TEをプレーした豊中高での3年間は「考える機会がすごく多かった」と振り返る。高校時代はチームにコーチが少なく、練習メニューの作成から試合当日のプレーコールもQBがメインで行うなど、チーム運営に関わる重要な部分のほとんどを選手で行っており自発的に考えて実践することが求められた。コーチが少ないからこそ、技術的な部分は大学主催のクリニックに参加したり、OBから積極的に取り入れるなど、少ない機会で多くを学ぶ意識が強かったという。

    毎年受験等を控えている関係で豊中高は春シーズンで3年生は引退となる。最後の春シーズンは2回戦まで勝ち上がるものの、大阪学院高に惜しくも敗北し引退となった。

    引退後は受験に集中するためフットボールから離れたが、自身の希望する学部を調べていたところ、北陸エリアの中では珍しく、アメフト部が福井県立大学にあることを知った。「実際に受験を決める際の代が北陸リーグで優勝してて、アメフト部強いんやなって思いました。コンタクトした先輩たちも面白い人達だったので決意しました」大学でもアメフトを続けることを決めた。谷元選手の中で、最終学年の引退まで一緒に戦い続ける「チームメイト」の存在は高校でも大学でも非常に重要視しており、皆が目標に向かって全力で取り組んでいることもアメフト部に惹かれたキッカケとなった。

    入部直後から高校での経験を活かし、少しづつ経験を積みルーキーとして臨んだ秋のリーグ戦では早々に出場機会を掴んだ。「今でもあのときの場面は鮮明に覚えていますね」と谷元選手は話してくれた。重要な一戦となる金沢大戦に第4Qに入ってからDLとして出場。やっと福井県立大の一員になれた喜びの反面、目立った活躍はできずもっと貪欲に「うまくなりたい」と思う原動力に繋がった試合だったという。

    反対に2年時のシーズンで北陸優勝を決め、全日本大学選手権で激突した中京大との一戦では、「北陸と全国の力の差を肌で感じました」と語り、チームの目標として打倒東海を掲げたものの結果は敗戦。全国の壁の高さを感じることが出来たからこそ気づいたことも多かったという。

    ■ あえて苦しさを隠さず伝えた新歓、一つの目標へひたむきに


    今季の福井県立大は全学年を合わせて約25人。部員数の確保がチーム力に直結する北陸リーグの中で今季の福井県立大は1年生の入部が非常に多かった。また、チーム運営の部分でも広報スタッフをはじめとした部員の取り組みでスポンサー企業の獲得にも積極的に動き、ホームページにはチームとともに戦うたくさんの企業が掲載されている。

    「そんなに大きい大学ではないので、まずは『アメフトを知ってもらう』ような取り組みから始めました。部員同士の雰囲気を知ってもらうことや、僕たちが目指している北陸優勝という目標に対する熱意を知ってもらうことにフォーカスしました」

    実際にアメフトの魅力だけを伝えるだけでなく4年間という長い時間を一緒に戦ってくれる本当の仲間を見つけるため、他の部活動よりは苦しい時間が多くなることを伝え、目標を達成するために必要な本当の苦しさはあえて隠さず伝えることにこだわった。

    ■ 山口大との一戦に懸ける思い


    高校から約7年間アメフトを継続し、今季は主将としてチームを牽引する役割を担った谷元選手はアメフトから多くのことを学んだ。

    「北陸で優勝するために色々な取り組みをしてきていて、最上級生で何度も話し合ったり、後輩に強く言ってしまう場面もありましたが、チーム全員で一つの目標に向かって1年間に全力を注ぐ経験はアメフト部でしか出来なかったと思っています。ここまでめげずについてきてくれた後輩や同期、コーチの方々との取り組みはこれからの自分の人生で活きてくるやろうなと思っています」

    最後に、現在は4チームが所属する北陸リーグの代表となり、今季ついに全日本選手権へ出場することに対する率直な思いを聞いた。

    「今季リーグ戦に出たのは僕たち合わせて3チームだけで、規模的にも各地方のリーグの中では一番小さいです。ただそれでも戦ってきた金沢大さんや富山大さんから『全国で頑張ってきてほしい』と伝えてもらっています。北陸代表であることに誇りをもって、小さいリーグだから1番弱いリーグと言われたくないので、全国でもしっかりと戦えることを証明したいと思っています」

    「対戦相手の山口大さんは去年北陸代表の金沢大に負けているので、今年こそ北陸に勝ちたいという強い思いがあるはずです。自分たちもそれ以上の熱量を持って中四国に勝つための練習に取り組んでいるので、北陸代表であることにプライドを持って試合に臨みたいと思います」

    11月11日、北陸の思いを背負った福井県立大がどんな戦いを見せてくれるのか。中四国代表との決戦はもう目の前だ。

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    いかがでしたでしょうか。各リーグの注目校もVol10まで掲載することができました。まだまだ発信していきますので、乞うご期待下さい!

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