• インタビュー
  • 2023.10.16

【2023年秋の注目校Vol7 ~関東BIG8~】急成長の青学大、踏み出した「強い」チームへの一歩目|青山学院大学ライトニング

1st downでは秋の開幕に合わせ、各リーグの注目校に取材を行い記事を発信していきます。第7弾は関東1部BIB8青山学院大学ライトニングです!

シーズン初戦は21-27で負けたものの、相手は昨年までTOP8にいた桜美林大に奮闘。今回は初戦で強敵を1タッチダウン差にまで追い詰めた青山学院大の幹部陣へ、今季取り組むチーム作りと懸ける思いを聞いてきました。
※後編は近日公開予定!お楽しみに!

▼目次

    記事・写真:三原 元

    ■ 春から準備して挑んだ初戦、桜美林に1TD差まで迫った


    「本当に今年は春も夏も、桜美林戦に向けて練習してきました。試合では前半にかけて点の取り合いになるくらい、自分達で試合の流れを作ることが出来たと思いますし、それはこれまで準備したものが出せた結果だと思います。」

    話すのは主将の西川 知希(ともき)選手。浅野高校アメフト部出身でポジションはTE。高校3年生の時にアメフトが出来る進学先を探し、当時BIG8に昇格したばかりのライトニングを知った。入部の決め手は「インスタで検索したら設備も良いし、何よりユニフォームがカッコ良かったので。」と話す。

    初戦は負けたものの桜美林大を1タッチダウン差まで追い詰めた

    「あの試合後は悔しくて泣いてる選手も沢山いました。けれど、だからと言って『悔しかった』で終わる選手は殆ど居ないですし、悔しいからこそ、切り替えて頑張ろうって思ってる選手が多いですね。」

    そう話すのは副将でQBの保立 詩弥(ふみや)選手。佼成学園の野球部出身で、高校の同期とは今でも一緒にアメフトの練習をする仲だそうだ。

    QBの保立選手は後輩レシーバー陣からの信頼も厚い

    「敗因は、これまでの練習で詰めきれなかった部分が試合で出てしまった事だと思います。シチュエーション毎にサイドラインとの連携や対応の練習をもっと実践的にやっていれば、と思っています。そうすれば、試合終盤で負けている場面でもオフェンスに焦りが出ることなく、もう少し良い結果になったのかなと思います。」

    保立選手がそのように振り返る桜美林戦だが、昨シーズンのライトニングはBIG8の10チーム中8位。そこから今年、桜美林とほぼ互角の戦いをした彼らの成長は驚異的に思える。彼らのその成長の理由はどこにあるのか西川主将に聞いてみた。

    「春に立命館大学パンサーズと法政大学オレンジに合同練習をさせて貰ったのが大きいですね。」

    彼らが春に合同練習を行ったチームは、どちらも甲子園ボウル出場経験のある東西の強豪。その2チームから彼らは何を掴んできたのか。

    ■ 春の強豪チームとの合同練習で気づいた、スタンダードの高さとアウトプットの重要性


    西川主将「彼らは当たり前の事を当たり前に出来る集団なんだと感じました。集団なので色々なタイプの人間がいる。なのに全体のレベルは1つのチームとして同じくらいに高いんです。その理由は選手一人一人がチームを背負って、チームの一員だと自覚が出来ていると感じました。」

    西川主将が話す『当たり前の事』とは、グラウンドでゴミを拾うような事も含まれていた。それらを強豪チームでは、選手それぞれが当たり前に出来ていたと話す。

    「中でも1番強く感じたのが、練習中に凄いアウトプットをしていた事です。それこそ学年関係なく、本当にしまくっていました。アメフトはテクニックなどをインプットする事が大事です。けれどただインプットするのではなく、指摘や質問をしたり、それに答えるといったアウトプットをする。そうする事で彼らはインプットした事を自分で再確認出来ているんだと感じました。だから選手一人一人の成長が早いし、チーム全体としてのレベルが高いんだなと。」

    『アウトプットこそ、最高のインプット』という言葉があるほどだ。合同練習を行った強豪チームは誰もが頻繁にそれを行っていたと西川主将は話してくれた。

    「ライトニングは未経験で始める選手が大部分を占める。そのメンバーでBIG8を戦って行くためには、彼らを真似してアウトプットをしまくって、そして正しい教育をしなくてはいけないと考えています。」西川主将の言葉にある「正しい教育」という言葉はあるチームを意識していた。

    「明治学院大学は人数が多いのに、試合では選手によってプレーのバラつきが無い。選手の基礎の動きがしっかりしているから、どの選手が入っても正しいプレーをしていました。本当に全員がフットボールの正しい知識があり、正しいプレーが出来る。正しい事を正しくやっていると感じました。」

    明治学院大はBIG8で昨年リーグ優勝したチーム。ライトニングにとっては越えるべきチームであると同時に、先ほどの強豪2チーム同様に学ぶべき事が多くあるチームだ。明治学院大を超えるためにも合同練習で得たものを実践し、着実に成長してきたと西川主将は話す。

    ■ コミュニケーションを増やし、成長につなげる言葉を増やした


    他にも今年のライトニングではどんな取り組みをしているのか保立副将に聞いた。

    「チームでは幹部で決めた事を全員で取り組むというより、各自がそれぞれで視野を広く持って、気を配れるようにしています。たとえば僕はQBで4年生、対してWRやRBは全員が下級生。彼らからしたら、僕には中々意見しづらいと思います。だからこそ僕が彼らとコミュニケーションを取って、皆が意見を言いやすい雰囲気になるよう心がけています。なので僕が1年生の時と比べると、下級生がのびのびとしていると凄く感じますね。」

    保立副将について下級生のWRは「リーダーシップがあって引っ張ってくれる先輩であると同時に、先輩のほうからもプレーに関して聞いてくれます。普段から密にコミュニケーションをとってくれるので、試合でもここに投げて欲しいってタイミングで投げてくれるんです。」と話しており、上級生からのコミュニケーションはチームにプラスの効果を出しているようだ。

    さらにコミュニケーションの大事さについて「普段からちゃんとコミュニケーションが取れていないと、仲間を偏見で見てしまうんです。」と話す選手がいる。もう1人の副将、池戸 秋音(しゅうと)選手だ。

    池戸副将はDBで青山学院高等部出身。高校時代にハンドボール部に所属していた彼は、大学では北海道大学アメフト部出身の父親の影響でアメフト部に入部する。

    現在はハンドボール部で培ったアジリティ(俊敏さ)や当たり負けしない体幹を活かして活躍し、ディフェンスリーダーとしてもチームを牽引。「ハンドボールでは相手の攻撃を止める為に体をぶつけて止めます。その動きがアメフトで相手にタックルする度胸に活きています。」と話す。

    池戸副将はハンドボールで培った当たりの強さでディフェンスを引っ張る

    池戸副将にコミュニケーションの大事さについて具体的に聞いた。

    「仲間内でコミュニケーションが取れていないと、ミスをした時に『何だよ今のは』ってミスした相手を批判する反応になりがちです。だけど普段からコミュニケーションが取れていれば、逆に相手の事を考えて『次はこうしよう』という、前向きな成長に繋がる言葉が出てきます。コミュニケーションは普段の練習からしっかりやる事で、1番必要になる試合でも出来るようになると思っています。」

    池戸副将が話すコミュニケーションによって、今では彼自身が3年生から指摘され、自分1人では気が付けない部分にも目を向けられるようになったと話す。また、彼は他にもこんな事を話してくれた。

    「僕らが立命館大学や法政大学と合同練習をしたのは春でした。当時はまだ自分達幹部陣も決まったばかりで、チームの方向性や目指す姿というものが決まっていない時期でもありました。そのタイミングに強豪校と合同練習をすることで、チームとして目指すべき理想の姿を全員が共通で認識できたことは大きかったと思います。」

    それまでは目指すチーム像などを話し合っていたが、中々イメージがまとまっていなかったライトニング一同。強豪チームの練習を全員が経験する事で、自分達が理想とすべきチームの姿を全員が共通してイメージする事ができたそうだ。彼らにとって合同練習はまさに百聞は一見に如かずだった。

    ■ 過去に囚われず、目の前の一瞬に懸け続け強くなる


    最後に3人それぞれに今シーズンに対する思いを聞いた。

    保立副将「今年のライトニングの強みは下級生が強い、若いチームだという点だと思います。今シーズン初戦は負けてしまいましたが、まだ入替戦へのチャンスはありますし、それを諦めてはいません。森HCからは良く『過去と比べるな、これから自分達がどれだけ強くなるかに目を向けろ』と言われます。この言葉通りに気持ちを切り替えて、目の前の相手に日々の練習でどれだけこだわって取り組んでいけるかが勝負になると思うので、ここから全て勝つ気持ちで挑んでいきます。自分自身は今シーズンBIG8のランキングでQBの1位を取るのが目標です。」

    池戸副将「自分はディフェンスリーダーとして、チームスローガンの『ALL IN』とは別にディフェンスのスローガンに『GRIT(グリット)』を掲げています。これは粘り強さや最後までやり抜く貪欲さなどを表す言葉で、この言葉通りにディフェンスは1つ1つのプレーで泥臭く、ガムシャラに全員で立ち向かって行きます。僕個人としては、これまで怪我で試合に出られなかった分を、最後となるこのシーズンにぶつけます。本当に今、私生活をアメフトばかり考えています。自分にとっての『ALL IN』は、自分の人生をアメフトに、そしてチームに捧げるという意味です。その思いでこのシーズンに挑んでいきます。

    西川主将「ライトニングは今シーズンBIG8で最下位からのスタートです。昨年はBIG8で最下層の順位でした。まずはそれを部員1人1人が自覚しなければいけません。自覚して1試合でも勝利を掴み取る為に、本当に全員が貪欲にプレーをしなければなりません。そういう意味で今シーズンはチャレンジャーとして、1試合1試合、着実に勝利をして一戦必勝で勝利を掴んでいきます。

    個人としてはチームスローガンの『ALL IN』を誰よりもフィールドで、誰よりも最後まで体現する。それをシーズン通して実践し、TOP8昇格を目指します。」

    強豪チームから得た気づきをもとに成長し、昨年の雪辱を晴らせるか。ライトニングは今年躍進への正念場を迎える。

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    記事後半では今年活躍が期待される選手と、チームをマーケティングの面から支えるスタッフの話を紹介します!

     

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