- インタビュー
- 2024.01.09
関大のエースQB須田啓太、「柱」としてチームを高みへ|関西大学アメリカンフットボール部
- #関西大学
ついに開幕した大学アメリカンフットボールの2023年シーズン!第3節を前に今季も関西Div.1は白熱した試合が繰り広げられています!
1st downでは秋の開幕に合わせ、各リーグの注目校に取材を行い記事を発信していきます。第4弾は関西Div.1関西大学カイザーズ!
昨シーズンに宿敵である立命館大学を撃破するものの、惜しくも最大の壁である関西学院大学との一戦で敗戦。今季こそ悲願である甲子園ボウルにたどり着くためにチームの「盛り上げ隊長」として中核を担うDL竹並 玖(たけなみ きゅう)選手にこれまでの経験と今季に懸ける強い思いを聞いた。
▼目次
竹並選手はフットボール一家に育ち、7歳上の兄であるフラッグフットボール日本代表の竹並 快選手ら兄弟の影響もあり、小学1年生の時にアメフトに出会い、小中高大と学生生活が始まってからこれまで16年間アメフトを続けている。
小学校でアメフトを始めたばかりのときや、中学時代にはQBやWRなどボールを触るポジションやNFLのカロライナ・パンサーズで活躍した名LBルーク・キークリーに憧れてLBを希望していたが、その時から体格は他の選手と比較すると既に大きく、願い叶わずすぐにOL/DLに。中学卒業後は関西の強豪、関西大倉高校に進学し、最上級生時には主将を務めた。
スターターとして試合出場するのは今季が初めて
高校時代になぜ主将になったのか、理由を聞くと「同期は10人くらいいたんですが、自分がアメフト歴が一番長かったことと、盛り上げ隊長というか、とにかくチームの元気印でコーチから打診がありました」と明るい表情で答えた。
主将に就任してチームの先頭に立ったことで「プレーヤーとしても、人としても大きく成長することができた」と語る一方で、高校時代の主将を務めた際に経験した大きな挫折はこれまでのアメフト人生の中でも印象に残っているという。それは同期の早期引退だった。「春大会が終わった後に同期が半分くらい早期引退してしまったんです」理由は大学進学のために学業に専念する選手が多かったからだそう。
チームを離れる仲間たちの引退を主将として止められなかったことが心底悔しく、当時を思い出すと今でも悔しいという。そんな中でもチームは前を向くしかなく、出来ることを最大限取り組み必死に秋大会に向けてチームを仕上げた。3年生最後の秋大会では、現在チームメイトであり、エースQBを務めるQB須田 啓太選手が率いる関大一高に敗北を喫し、高校アメフト人生が幕を閉じた。
関大に進学することを決意し、奇しくも高校時代に戦った須田選手と同じチームに。須田選手とはパシフィックリムボウルで初めて出会ったが「こんなに上手い選手と一緒にアメフトが出来るのか」とワクワクする気持ちが何より強かったという。他にも有名校からトップ選手が多く集まり、自身の大学アメフト生活に対して前向きな気持が大きかったものの、竹並選手にとってそこからの3年間は多くの挑戦と成長の時期だった。
DLユニットには毎年スター選手が揃い、1学年上には現在オービックシーガルズでプレーするDL新倉選手らなど、試合経験豊富かつ実力のある先輩DLたちの高い壁がそびえ立っていた。憧れの先輩たちから見て学び、得れるものは最大限吸収しつつ、その高い壁を超えるために日々自身のテクニックやファンダメンタルと向き合いながら改善を継続するも、大学入学後3年間はスターターとして一度も出場することができなかった。
しかし、そんな中で一度だけ出場機会が与えられた試合があったという。それは去年秋の大一番である関西学院大戦だった。「去年の関学戦の前にコーチからディフェンスエンドとして出場する機会をもらいました」昨年の関大は関西学院大に勝利すれば、悲願のリーグ優勝が見えており甲子園ボウルに出場するための切符は目の前だった。
そんな優勝に王手をかける重要な一戦で、ついに試合出場が出来ることに胸を膨らませ、ラストチャンスに懸けて覚悟を決めた竹並選手に、突如病魔が襲った。
症状は重く、急遽入院を余儀なくされた竹並選手。昨シーズンで一番の山場となった関学戦は病室で応援するしかなかった。「試合には出れなくてもチームに良い影響を与えることは出来ると思うんです。それすらも出来なかったことがやっぱり一番悔しかったですね」チームに何も出来ていないんじゃないかとひたすらに悔しい思いが募ったという。その試合でチームは惜しくも関西学院大に敗北し、悲願の甲子園ボウル出場は叶わなかった。
その悔しさを経て、今シーズンで学生アメフトはラストイヤーに。竹並選手は副将になることを決意した。副将になった理由は、今季主将のWR横山選手の存在が大きかった。横山主将の人間性とアメフトに対する知識、そして怪我で2年間プレーできなかったにも関わらず、裏方としてチームを牽引する姿勢に、竹並選手は「こいつを支えて日本一になるために副将としてチームを支えたい」と強く思った。
今年がスターターでの試合出場1年目で、「本当に自分が副将でいいのか、緊張と不安と恐怖しかなかった」と語り同期や幹部に相談することが多かった。しかしチームの支えと、横山主将はもちろんもう一人の副将であるOL向井選手から「お前が副将でいることに全く不安はない」という言葉をかけてもらったことで、何よりも安心して「これじゃだめだ」とチームを牽引する一員として大きな覚悟が決まった。
今春自身初めてとなる宿敵関学のOLと真正面からぶつかった
チームとの強い絆が、竹並選手にとって、そして副将としての自信を改めて持たせてくれた。下級生時から試合出場経験を積み、リーグ内でもトップの実力を持つ最強のチームメイトであるOL向井選手の存在は、関学・立命を超えるための明確な指標だという。
今年はチーム全体のスローガンとして「GO MAD」を掲げており、これは「アメフトに熱中する」という意味を込めているそうだ。このスローガンは4回生で話し合って決定されたもので、「GO MAD」以外にもいくつか案はあったものの「それは自分たちらしくないんじゃないか」という意見が出たため、アメフトに夢中になることを推進する「GO MAD」が選ばれた。
竹並選手によれば、関大にしかない魅力は「どのチームよりもアメフトを楽しむことを大切にしていること」だという。アメフトを楽しむためにも本気で練習をしてやりきることは大前提。これまでの自身の取り組みも見直しており、今までよりも練習の意図を言語化して、後輩や同期らに理解してもらうことにこだわっている。
相手オフェンスを中から破壊する強力なプレーヤーとして常に存在感を見せる
昨年の勢いをそのままに、今季にかける意気込みは非常に強い。日本一を目指し、特に小学生から夢見ていた甲子園ボウルへの出場が目標となっている。「小学生からずっと憧れていて、今年叶えるもんやと思っています」と語る竹並選手の目には熱が宿る。
関大の「盛り上げ隊長」のラストイヤーの戦いに注目したい。
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いかがでしたでしょうか。激戦地区関西を勝ち抜くための取り組みに目が離せません。また関西大学は後半もありますので、乞うご期待ください!
インタビューでは終始柔らかい笑顔を見せてくる優しい選手でした!