• インタビュー
  • 2023.10.02

【2023年秋の注目校Vol5 ~東北~】逆境から逃げずに向き合うチームづくりの難しさ|仙台大学シルバーファルコンズ

ついに開幕した大学アメリカンフットボールの2023年シーズン!

1st downでは秋の開幕に合わせ、各リーグの注目校に取材を行い記事を発信していきます。第5弾は東北学生リーグに所属する仙台大学シルバーファルコンズ!

昨季悔しい結果に終わり、今季こそ雪辱を狙う仙台大学主将の守 真輝(もり まさき)選手に地方の大学でアメフトをプレーするリアルについて聞きました。

▼目次

    ■ 逆境から逃げずに向き合う


    仙台大学は現在1年生が4人、2年生が7人、3年生は0人、4年生が5人で合計16人のチーム。基本的に試合ではオフェンス・ディフェンス両面で出場が求められることが多い。昨シーズンはライバルである東北学院大学や山形大学に敗戦を喫し、全敗という結果に。チームは大きな試練を経験した

    ※写真:本人提供

    「練習でやったことが試合で出せず、リーグ戦が始まってからチームで調子が上がるタイミングが遅かった。エンジン自体がかかるのが若干遅かった」と守選手は昨季を振り返る。そんな中で守選手は「自分たちの学年でキャプテンを決めるってなった時に周囲の推薦を受けたことで『自分がやるしかない』と気持ちが固まりました」と今季チームのキャプテンとして新たな風を巻き起こす覚悟を決めた。

    守選手自身は高校まで野球をプレーしたものの、大学に入学して新しい挑戦を求めた。野球以外のスポーツを探していたところ、たまたまインスタグラムの投稿でアメフト部を知り、入部を決意した。かつて東北大学アメフト部でプレーしていた高校時代の先生からアメフトを勧められたことも新しいスポーツに飛び込む決断を後押しした。

    ■ 今できることを最大限やりきる


    仙台大学は体育学部の1学部のみしかないため、高校までやっていた競技をそのまま大学でも続ける選手が多く、大学から新たに違う競技を始める選手は少ない。また最初はアメフト部に入部しても、途中で他の部活に切り替えるなど、学内でのアメフトの知名度が低くカレッジスポーツであるからこそ選ばれにくい環境もあり、毎年の新入生勧誘のハードルは非常に高い。

    ※写真:本人提供

    「今季はリーグ戦への単独出場が厳しいという判断になってしまって。今年はおそらく合同チームで出場するんだと思います」

    前述した通り、部員数は現在約15名弱。今季は単独チームとしての出場が難しい状況に直面しているという。合同チームとしての活動がどのように進展するのかは未だ不透明だが、選手たちはチームの結束を強化し、新たな試練に立ち向かう覚悟を強く持っている。

    今季の仙台大学は守選手を中心に過去の結果にとらわれず、前向きな姿勢で未来に向かって進む決意を示す「Never say never」というスローガンを掲げた。

    「今季の元々の目標は、リーグ優勝。しかし人数不足でその目標の達成が難しい中で、何かチームの1年間のフィロソフィーを決めたいと思っていました。それが『Never Say Never』という一つの単語なんです。最後にこのチームが終わるときに『Never Say Never』を完遂出来ていることが大事なことなんじゃないかなと思います」

    そもそもそのスローガンにはどんな意味が込められているのか。「何かちょっとつらいこととか、これ無理だなと思ったとき、何かしらの形で出来る可能性や理由を見出して自分たちで動くことを大切にしています。例えば今ならリーグ戦で試合をするためにはどうすればいいのかを自分たちなりに考えて動くっていうことなんじゃないかと思います」

    自分たちが置かれている逆境に対して最大限ポジティブに捉え、出来る限り行動を積み重ねることを大切にしてきた今シーズン。勝利を前提にフットボールを楽しむことも同じくらい大切にチームカルチャーとして作り上げてきた。チームメイトとぶつかることもあったが、それが仲間との結びつきを深め、成長の機会と捉えているという。

    ■ アメフトで得た新しい気づき


    仙台大学でアメフトをするからこその魅力を聞くと、体育系の学部が多いからこそ学んだことをそのまま実践できることが大きいという。

    「仙台大学ならではというか、体育学部しかないからこそ体の仕組みとかトレーニングの方法や栄養学の部分を直接部活動に活かせるのは大きいかもしれないですね」反対にアメフトから学んだことも多かったという。「トレーニングが一番大きいと思うんですが、授業で学んだ体の仕組みとか使い方を実際に体験して自分で考えてやるからこそ、頭で理解するだけじゃなく実践できる知識になります。アメフトをしているからこそ、他の学生と違う視点から体の使い方について学ぶことが出来ていると思います」

    最後にこれから地方大学でアメフトをプレーすることを悩んでいる方に向けて、メッセージを聞いた。

    「大学生活を無意識で普通に過ごしてたら多分何もしないで終わっちゃうと思うんです。普通の大学生で終わるんじゃなくて、何か一つ自分から行動を起こして、何かをやり遂げた経験を絶対に作った方がいいと思います。特にアメフトだったら、新しいスポーツに挑戦するっていうのはもちろん、人生の中でもすごい挑戦になるじゃないですか。それをもし4年間しっかりと成し遂げられたら、ものすごい達成感があると思うので、本当ベストはなんじゃないかなというふうに思います」

    自分たちが置かれている逆境から逃げずに、今できることに最大限向き合い、どんな形であれ前向きにやり切る姿勢を大切にしている仙台大学シルバーファルコンズ。彼らの活躍に今後も注目したい。


    いかがでしたでしょうか。引き続き他リーグの注目校も配信して参りますので乞うご期待!!!

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